2006年10月1日『第4回醤油名匠』の表彰式で、「審査委員特別賞」を受賞しました「真昆布佃煮」。安田食品の中でも特にこだわりのあるこの「真昆布佃煮」にまつわる裏話や苦労話等をお伝えいたします。
売れんでもええ、よそにないええモン作れ!瀬戸よ志の看板になる昆布佃煮の最高級品や!

1章最高級昆布佃煮を目指して

「売れんでもええ、よそにないええモン作れ!“瀬戸よ志”の看板になる昆布佃煮の最高級品や!」

そんな5代目社長のひと言から、この商品の開発はスタートしました。
開発担当としては一度はチャレンジしたい超高級品作り。
これはチャンス!と意気込んで取り掛かりました。

まずは昆布。
昆布問屋から“道南産真昆布天然元揃”が届きました。
5代目社長は「これ使たらええからな。びっくりする程高いぞ!」と言って昆布の端をちぎって口にほおり込み、「うま~!こりゃ楽しみや。」とその場を立ち去りました。

実際に口にすると、本当に雑味のない澄んだ旨みのおいしい昆布。
その昆布の味わいは噛めば噛むほど口の中に広がり、いつまでも続きました。
この時おぼろげながら
“自らの出汁で、自らをおいしく味付けする昆布佃煮。だから余計な調味料は一切使わない”
そういうコンセプトが頭の中に浮かんでいました。

2章素材の持ち味を活かす

続いて調味料選び。
余計な調味料は使いたくない、最小限の調味料で最高においしい味を作りたい。
そこで、なんと言っても鍵を握るのは“醤油”

ここ小豆島は四百年の歴史を持つ醤油の産地。数々の醤油屋さん(醤油蔵)が軒を並べています。 そんな中に、自分トコの商品を「日本一高い醤油!」と言い切る『ヤマロク醤油』があります。 杉桶で4年もの歳月をかけ、醸造されるまでの時間も味わえる再仕込み醤油『鶴醤』は、一度使うと違いの分かる、深いコクとまろやかさを極限まで追求した濃厚な醤油。 正に「日本一の醤油!」。 今回の商品は「値段を気にせんでええ!ええモン使おう。」ということなので、迷いなく醤油は『鶴醤』を使うことに決めました。

そして次に甘味をどうするか?
もちろん甘味をだす材料はいろいろあります。
上白糖、水飴、黄ザラ、三温糖、本みりん、黒糖、etc…。

いろいろ試してみましたが、ベタ甘かったり、独特のコクや香りがあったりと、いい昆布、いい醤油の邪魔をしていることに気が付いたのです。
味を邪魔しない、すっきりとした甘味といえば…。
それは砂糖としての純度が高く、和菓子等の上品な甘さとして使われることの多い『白ザラメ糖』です。
ここは百歩下がって自らを主張せず、しっかり縁の下の力持ちとなって、すべての味のバランスを支えてくれる『白ザラメ糖』にすることにしました。

最小限の調味料しか使わないと、使っている物の味がストレートに表に出ます。
それはつまり、誤魔化しが効かず、結局妥協できなくなり、いいものしか作れない。
という風に、いい意味で洗練されていったように思います。

いい料理人はいい素材の持ち味を活かすことを考える。
この真昆布佃煮もそういう気持ちで作りました。

3章いよいよ製造スタート!

いろいろと試作を重ねながら、材料もほぼ絞られてきましたが、ただ高いだけではお客さんは買ってくれない。
やっぱり「オ~!」っと思うような驚き、非日常的でいわゆるゴージャスさを表現しなければ…っと考え、お取り寄せ通販等の高級品と言われるものをチェックしてみましたが、どれも平凡。
「なんでこれがこの値段で売れるんや???」
不思議でしかありませんでした。

そんな時ふと、「大きい昆布は見た目にもハッキリ違いがわかり、リッチに見える。」そういう考えが浮かんできました。
ただ、大きい昆布は機械で切れるのかどうか不安があり、まずは鋏で原料の昆布を同じ大きさに切ってから炊いてみました。
ところが炊きあがった昆布の大きさは真四角なものや長方形のもの、台形のもの、平行四辺形のものと、どれもバラバラ。
「やっぱりこれは機械では無理や!ある程度水戻してから、包丁で手切りするしかない!」
そう確信したものの、思った以上に手のかかる作業に「手間やなぁ…」という思いが頭をよぎりました。

しかし、この大きさ、手切りの贅沢さ、正に非日常的でゴージャスではないのか?
「どうせめちゃくちゃ高い物になる。そんな数は売れん。売れたら売れた時のことや。余計な心配せんとやろう!」
と変に開き直って、製造をスタートさせたのです。

4章お客様とともに歩みつづける

そしてついに、最高級の真昆布佃煮が完成し、2003年12月『真昆布佃煮』 は“瀬戸よ志”に並べられました。

発売から約20年になりますが、実はそれからも何回か改良をしています。
創業以来約75年、昆布の安田食品としてその間受け継がれてきた技術、そして職人気質。
よりおいしいものを目指して、気になるところはよりいいように改良を重ね、現在の姿にたどり着いています。

そんな努力の甲斐あって、お蔭様で2006年4月地域食品ブランド「本場の本物:小豆島佃煮」の一品として、認定を受け、2006年9月29日第四回『醤油名匠』審査委員特別賞をいただくことができました。

しかし原料の昆布は天然のもの。
今や、ほとんど収穫のない年もある超貴重品道南産天然真昆布。
それを発売当時から変わらず贅沢に使っています。

北海道道南産 真昆布佃煮

北海道道南産 真昆布佃煮

内容量
100g
1,250(税込)